原発について

国の事業の水道について書いたが、ここでは電力の原発というのもまた、国策の一つであるので、それについて書きたい。

私はというと、1986年の旧ソビエトで起きたチェルノブイリ原発事故の際には旧ソビエトのモスクワに、2011年の福島原発事故の際には、日本の東京にいた。どちらも、直撃というか、ものすごく近くにいたわけではないが、今のところ、特に原発事故に伴う健康被害は現れていないように思う。

原発については、反対派、賛成派ともに色々なデータ等を用意し、議論をしているが、他のトピックにおける議論と少し毛色が違うところがあり、お互いに同じデータを使って議論をせず、それぞれが違うデータを元に一方的な言い分を言い合うだけになっており、噛み合っていないようにも見える。

例えば、反対派が原発事故により、人体や自然への悪影響のことを懸念していると、普通の議論であれば、悪影響はないということを賛成派が反論してもいいものだが、そこはあまり真正面から反論はしていない。また、賛成派が、原発はCO2を出さないクリーンなエネルギーであるというが、反対派からはこれはこれで納得しているようにも見える。実際には原発はエネルギー効率が悪いという話もあるが、逆にソーラーを使えば発電量が天候に左右されるだけでなく、パネル設置のために多くの山や森林を切り崩す必要があり、さらにソーラーパネルを製造する段階でのCO2発生量の話もあるので、旗色が良くないためあまり強く反論している人もいないようにも見える。

よって、どちらの議論もなんだが、感情というか、好き嫌いがメインになっているように思える。 もちろん各分野の専門家はそれなりの意見を持っているがどれも一般人には広がっていないように思える。

また、原発を使わなければ、燃料費が上がるという議論も、色々数字が出てきて、どれが本当なのかは分からない。しかし、とりあえず、日本があえて高い値段で石油を買っていることをまず止めるべきだとは思うが、ただ、原発を止めてもそこまで大きく電気代が上がっているというわけでもないので、そういうことから燃料代は原発の停止とあまり関係なかったのかな?という気もするので、賛成派の理屈はなんとなく違ったのではないかとも思う。

さらに、みんなが一番気にしていた健康被害であるが、10年経って、福島やその近辺の農作物や水産物にほとんど有害物質は検知されず、普通に流通しているし、また汚染地域と呼ばれた場所にいた動植物は未だにとても元気に生きている。色々なことを言う人がいるが、これが真実であると思える。確かに色々と除染作業などをしてきたことが功を奏していると言えるのかも知れないが、そもそもそんなに原発事故というのは、危険なのだろうか。

そこで、私の見解をまとめてみると、

①環境被害は、想定よりは小さい

原発を使わないことによる燃料費の高騰も思った程ではない

③CO2の削減にどちらが貢献するかは微妙

 

ただ、今の原発を使い続けることで増える核燃料廃棄物の問題、使わないとしたときの廃炉問題がある。

よって、私が考えるのは、反対派も賛成派もどちらが現在進めるべき道かはっきりとは分からないので、とりあえず、このまま使い続け、廃炉または核燃料廃棄物処理費用の貯金をして、10年後、20年後に廃炉を順々にしていくというのがいいのではないかと考える。原発自体が自分のケツを自分で拭くというスタイル。今は正直、原発に代わる電力は火力しかないと思うが、それも逆風が吹いており、厳しい。よって、今すぐ止めるのは得策ではないが、核燃料廃棄物のことを考えれば、そもそも未来永劫使える技術ではなかったのでは?とも思うので、経済的に打撃を与えないように、または最小限に抑えられるようなソフトランディングを狙いたい。

 

ただ、ここで言いたいことはこんなことではなく、どうしてもっと、科学者が一般人に分かりやすく、そして真実を、原発問題について語ってくれないのか?と思う。

原発問題というのは、エネルギー問題、環境問題、そして地域経済問題、など色々な問題が絡む政治に関わる問題だ。だからこそ、国民はもっとそれについてしっかり知るべきだ。実は私はここには書かないが、他にも色々情報があることは知っている。しかし、それらは本当にちゃんと調べようとしない限り知ることが出来ないものばかりである。それでは、国民は正しいというか、自分なりの意見を持つことが出来ない。こんな大事な問題なのに、考えるキッカケすら持てないのである。

どうか原発に関わる科学者には、情報発信をしてもらいたい。そして、国民が原発問題について、ちゃんと考えられるソースを与えて欲しい。