アメリカについて

以前書いたように、私はアメリカには5年いた。

アメリカに行く前の印象というのはどちらかと言うと、アメリカ政府つまりは政治的なイメージがすごく強かった。 非常に高圧的な態度で、日本に牛肉を買わせたり、戦闘機買わせたり、郵政民営化思いやり予算やら、そんな交渉に向かう姿のイメージであった。

ただ、実際に住んでみるとそんなところはあんまり見えず、どちらかと言うとアメリカンライフを楽しんだので、それについていろいろ書いてみたい。

まず、アメリカはプロスポーツが盛んで、とても楽しませてもらった。中でもメジャーリーグベースボールは、自分が野球好きということもあって一番多くの時間を費やした。私が住んでいたのが、テキサス州のヒューストンという街だったので、そこの地元のアストロズの試合はよく球場に行って見に行った。特に日本人メジャーリーガーのイチローや松井、ダルビッシュマー君などがヒューストンに来て試合をした時は必ずと言っていいほど見に行った。また、元&現スワローズの青木がアストロズに来た時はとても嬉しかった。

その他にも、アメリカのスポーツといえば、バスケットボール、アメリカンフットボール、ゴルフ、NASCAR、インディなど 本当に様々なプロスポーツがありどれも多くのファンを抱えている。 このように多くのスポーツを上手く商業化し、そのお金を使ってまたスポーツの振興に力を入れるビジネススタイルは日本にとっても参考になると思っている。今、ちょうど東京オリンピック開催中であるがいくつかのスポーツは、そのスポーツ選手がスポンサーをつけて、ある意味プロで活躍しながらスポーツに打ち込めるものもあるが、まだまだそうでないスポーツも多く、お金を稼げる体制を作ることはとても重要であると考える。やはり、スポーツは人々に希望や感動を与えてくれるので、サポートできる体制が整うように色々工夫したい。単に国がサポートするというようなことでは続かないと思っているし、スポーツとは本来国のためにやるものではないので、国が多少関与することはあっても、税金を大量に注ぎ込んで選手にプレッシャーを与えるのは間違っている。

 

アメリカ生活のなかで、一番面白かったのは旅行である。 旅行といっても家族旅行でたくさんのところへ行ったというのはもちろんだが、それ以外にも出張などで様々な場所を訪れたこともいい思い出であった。特にアメリカに来てから私が訪れた町にメジャーリーグのチームがあればそのチームの野球帽を買うというスタンプラリーのような挑戦をしたが、5年間で30チーム全ての帽子を揃えることができた。

旅行の楽しみは主に二つで、一つ目は何と言っても アメリカ特有のロードトリップである。 どこまでも続くアメリカの無料のハイウェイを何時間も運転し、両脇には農地や荒野、時にはロッキー山脈やミシシッピ川など 多くの自然の中を走るのはとても爽快であり、ハリウッド映画の中にいるような感覚にもなった。なかでも、ニューメキシコ州アリゾナ州のハイウェイは素晴らしかった。

またアメリカの旅行で面白かったのは カリフォルニア州ニューヨーク州フロリダ州のような日本でも誰でも知っているような場所に行けるということもあったが、Yellowstoneに代表されるような圧倒的な自然遺産もたくさんあったことである。

日本はいつまで経っても東名高速は無料にならないだけでなく、値上げすらしている。ただ、日本は飛行機や新幹線、バスといった便利な公共交通機関も多く、日本中をそれで網羅できるので、あまり道路ばかりに集中しなくていいのかもしれないが。

 

最後にアメリカ生活で面白かったのはアウトドアライフである。 私の住んでいたテキサス州には数多くのキャンプができる場所があったことや バーベキューも盛んで 毎週末何かしらイベントをやっていた記憶がある。 私もキャンプセットやバーベキューセットはもう色々買い揃えてしまい、かなりの出費になったことは確かだが、非常に良い思い出である。そこで、日本でもバーベキューに変わることはできないかなと考えていたら、意外にも日本の方がたくさんできることが分かった。 それはみんなで集まって一緒に作って食べるという経験なのだが、一番手っ取り早いのが、たこ焼きやお好み焼きパーティー。焼き鳥や流しソーメン、餅つき大会など、日本は昔からこういうことをやってきてたんだなと気がついた。日本に帰国した後は、アメリカで培ったアウトドア技術を用いて日本の伝統との組み合わせを楽しんでいる。

 

ただ、アメリカの唯一の難点としては、食事はあまり美味しいものがない、というかどこへ行ってもだいたい同じものが出てくるということだ。手作りのものを食べれるというよりは日本でも最近増えてきた冷凍食品やファストフードなどの工場食がメインである。 もちろんある程度のお金を出せば美味しいものは食べれるのだが そんな出費をいつもできるわけもなく、普通に食べるものはだいたいまずい。 これはインドネシアとはだいぶ違う部分である。前にも書いたが、インドネシアの食事は安くて、美味しい。

 

総じてアメリカ人を見ていて思うことは彼らは非常に楽しむことを見つけるのがうまいということである。日本人というのは、楽しいことに対して、少し後ろめたさを感じる性質があるようにも思う。決してそれが悪いわけではなく、それはそれで大事なこともあるが、アメリカ人の思い切り楽しむという姿をみて、これもこれでアリだと思った。

人間、何を持って幸せな人生だったかと思うか人によって違うと思うが、少なくとも楽しい人生を送れれば、それは幸せなのではないだろうか。 そう思うと楽しいことを追求していくというのは人生を追求していくものなのかもしれない。 そんなことを考えさせられたアメリカ生活であった。