家を買うについて

最近、色々と家を買うことについて、聞かれることが増えたので、私が家を買う時に考えたこと、そして買ってから気がついたこと、または他人から聞いた話なんかも交えてちょっとまとめてみたい。

賢く家を買うコツというのは、賢く生きることと同じで、自分なりの尺度を持つことである。他人の評価通りに、自分の価値観を合わせてしまうと、どうしても高いものを買う羽目になる。しかし、逆にみんなが嫌がるような条件をあえて飲む、むしろ好むことで、安く良いものが手に入る。これのいい例が、アメリカでは、鶏肉と言えば、胸肉だったり、手羽先だったり、そういう部位の消費量はものすごいのだが、ハツ、肝なんかはほとんど食べる人がいないので、ものすごく新鮮なものが、日本の半額以下で売られている。アメリカは日本より物価は高いが、こういうところに目をつけると、安く美味しいものが手に入る。

しかし、何でも悪条件を飲めばいいというわけではなく、家を買うというのは、多くの人の場合、その人生で一番大きな買い物になり、その後30年近くローンの支払いが続くという、失敗が許されない買い物である。もちろん、失敗しても、そこを売って買い替えることだって、出来なくはないが、賃貸程は簡単ではないので、慎重になる必要がある。さらに、仕事上の転勤や出向、転職などもリスクになる。よって、家を買うということは、その地にしっかり根をはろうという気持ちがないと難しい。だから、最初に考えることは、家の場所である。

場所で大事なことは、通勤、災害、治安、教育、そして、ご近所さんである。まず、通勤については、よく駅チカがいいと言われ、駅からの距離が値段にストレートに効いてくるが、ここで色々と考えてみたい。駅が近いというのは便利だが、駅が近いということは商業施設も多く、また人通りも多いので、騒音や治安、人によってはあまり落ち着かないということも考えられる。しかし、あまり大きな駅でなければ、こういうことは少ないが、今度は通勤が面倒だ。いくら駅に近くても、その駅が小さな各停しか止まらないような駅だと、結局、都心に出るまでに乗り換える必要が出てくる。通勤を考える際には、乗換なし、または一回程度を選ぶべきだが、同じ路線なのに、各停から急行に乗換するのは、不便であると言える。よって、駅チカというのは値段程、あまりいいものではなく、切り捨ててもいいのではないか?と思う。よって、大きな駅より少し離れた場所で、自転車で15分くらいでいける距離がベストだと考えている。これだと、かなり値段が下がることと、自転車通勤すれば、ジムに通っているのと同じことで、健康にもいいし、なにより朝から気持ちがいい。雨の日や寒い日は辛いので、バス停が近くあり、大きな駅に同じように15分くらいで行けるという条件があるとさらにいい。

災害については、津波、台風、土砂崩れなどはなんとなく自治体のハザードマップなんかを参考にしたり、過去の災害の被害状況などを見ればなんとなくわかるので、調べておきたい。また、地盤なんかは元々、その土地がどんな土地だったのかを調べると早い。沼とか、池とか、田んぼとか、開発前の状況が参考になる。しかし、なかなか分からないのが地震である。これはどうしようもないとも言えるが、まずはその家の耐震設計をみて、普通は基準通りなので、問題ないが、私が気にしたのは、東日本大震災前に建てられた家なら、大丈夫だろうということ。あとでまた書くが、新築より中古がいいと思う一つの理由がここで、すでにある程度大きな地震に耐えた家なら、耐震基準をクリアしてると証明したようなものだ、ということである。専門家ではないので、よく分からないが、それによってダメージを受けているので、良くないという意見もあるかもしれないが、この辺りは何を信じるかだけかなと思っている。

次に教育であるが、小中学校というのは、公立のものでいいと思っている。やはり、私立に行くと、似たような家庭環境の人が集まり、子どもが広い視野を持ちにくいのではないかと思っている。この小さい時期は海外にでも行けたらいいが、行けないとしても、やはり公立で色んな人と出会い、少しでもダイバーシティの刺激を受けるのがいいと思っている。また、公立がいい理由はもう一つ。それは地元の友達が出来ることである。遠くの親戚より近くの他人ではないが、やはり地元というのは大事で、そこで繋がっておけば、いざという時に、助け合う事ができる。そして、高校と大学は自分のレベルや趣向に合うところへ行くのがいいが、近くにレベルの高い高校があると、通学に時間が取られないので、勉強や部活に精を出せる。高校時代は本当に人生の中でも一番忙しい時期であり、そこであまり通学に時間をかけてしまうのは勿体ないので、なるべく近くに通った方がいいため、子どもが将来通える高校が近くにある家を探すのは間違っていないと思うし、実はこれによって家の値段が上がるということもほとんどないので、この尺度は持っていてもいいと思う。

そして、最後はご近所さんである。今は都会に住めばあまり気にしないかもしれないが、田舎に住むと、人の入れ代わりが少ない地域も多く、突然引越してくると、新参者として、村八分にされることもあると聞く。よって、田舎に住む場合、新しい人と古くからいる人がちょうど良く混ざっているような地域がいいと思う。逆に新興住宅地で、新しい人ばかりだと、地域の伝統行事がなかったり、生活のルールが徹底してなかったり、子育て世帯ばかりだと、変なライバル意識が生まれたりすることもあるようなので、注意したい。そして、このような尺度もあまり値段にはあまり反映されないので、こだわっても高い買い物になることはない。

場所がなんとなく決まったら、戸建てか、マンションかという選択になるが、これは色々な要素があるので、一概には言えないのかも知れないが、オススメは戸建てである。これは、少し前に書いた人生の楽しみについて、でも触れたように、庭があると季節感や太陽の光に木々がキラキラしたりするのを感じられる。これは、それだけで何もしなくても人生が豊かになる。また、子どもがいれば、走り回ったって、下の階に迷惑かかるわけでもなく、逆に他人の騒音も気にならない。もちろん、庭の手入れが大変だったり、ゴミ出しが面倒だったりもするし、またセキュリティもマンションの方が高いので、どっちを取るかということになる。戸建てでもちょっと注意が必要なのが、大きな道路、つまり交通量の多い道路に面している家だが、これは車の出し入れの際、いちいち道路の流れを止めないといけなかったり、出るのもタイミングを見計らう必要があるので、なるべく家の前の道路は車があまり通らないところが良い。子どもが飛び出してしまう危険もあるし、家の前で遊ぶことが出来ないのも寂しい。

そして、次に新築か中古か、であるが、これは断然、中古がオススメである。これは日本では、という限定付ではあるが、その理由として、日本は新築希望者が多く、中古だといきなり値段がガクッと下がる。10年経つと家の価値がなくなると言われる程、日本の新築信仰は強く、中古住宅を売るのは大変らしい。よって、中古住宅の多くは安い、またはものすごくキレイにリフォームしていたり、立派な家が多い。アメリカでは中古であろうが、ほとんど値段は下がらないらしいので、日本で家を買うなら中古を探すのが良いと思っている。しかも、先程の地震の話もあったり、すでに色々経験している家は安心とも言える。よく言われるのが、中古だと色々リフォームをしないといけないから結局同じくらいかかるということであるが、リフォームはほぼ終わっている場合が多く、内覧時に追加でリフォームすべき場所は分かるのでその金額を見積って、それを値引きの交渉材料にも出来る。また、家を買えば、普通は10年以上は住むだろうし、長ければ、20年、30年と住み続ける。そう考えると、その間に、子どもが成長する、親の介護が必要になる、趣味の場所が欲しくなる、などなど、新築にしても、リフォームは必要になってくる。よって、特別に中古住宅だけにリフォームが必要というわけではない。よって、中古住宅を選ぶと、理想に近い家がかなり安く買える可能性がある。

よって、これまでのことをまとめると、オススメは、急行が止まるような大きな駅からは少し遠く、バスや自転車で15分程度のところで、古い人と新しい人が混じっている地域で、近くに進学校があり、災害にも強い場所に建つ、庭付き戸建ての中古住宅である。

参考になったかは分からないが、少しは何かの役に立ってくれればいいと思う。