育児について インドネシア編

インドネシアの育児については、国民の8割がイスラム教徒であり、またものすごく複雑に民族や風習がインドネシア全土に広がっていることから、ロシアやアメリカのような一般化するとすると、やはり宗教的なものが一番分かりやすいということになる。

宗教について詳しく勉強したわけでもないのであまり書かないが、とりあえず、イスラム教において母というのは非常に重要であり、最も尊敬されるべき存在として位置している。子育てはやはり母の役割であるとともに、また父はそれを精一杯支える存在としている。

一夫多妻制ということもあり、直接父が子育てに関与するというよりは、周りのインドネシア人を見ていると、主に財政面でのサポートのみが義務付けられているという気がする。

なんとなく昭和時代の日本に通じるところがあるようにも思える。

ただ、インドネシアでよく見かける光景といえば、小さい子供を連れて外食する家庭が多いということ。

日本で外食といえば、少し贅沢な時間という感じで、安いとされているアメリカ系ファーストフードであっても、やはり家で作るよりは高いし、ファミリーレストランであっても冷凍食品がメインで、何より健康にはよくないので、小さい子供を連れていくのは抵抗がある。健康志向のレストランは総じてかなり高額な食費になる。しかし、インドネシアの外食は基本的にはその場で作っているものを食べられる。さらにインドネシア人の給料からしても高いわけではない。

前にも書いたが、健康的な食事を安く、早く、楽に、そして美味しく食べられることは国民の健康を維持する上で最も重要で、特に子どもにはかなり重要である。しかし、それとは相反して、子育て家庭はかなり忙しく、食事にそこまで時間が取れない。家で食事を作るというのは、献立を考えて、それに合わせて買い物をして、調理して、そして後片付けをする。一食を作るだけでも全工程で4時間はかかると考えられる。しかし、外食すれば1時間程度で済むし、身体もだいぶ楽である。これによって子どもと遊ぶ時間や部屋を掃除する時間にも充てられる。よって、外食は子育て家庭の救世主なわけだが、日本では子どもを連れて行きたいと思わせる外食はほとんどない。仕方なく外食する場合も、あんまり食べさせたくないなぁ、とか、もちろん経済的にも高いなぁと思いながら、受け取った時間の代償は大きいと、特に子どもの健康を考えると申し訳ないという背徳感がある。これに比べると、インドネシアのケースは非常に恵まれているように思える。目の前で材料からちゃんと作っている料理を食べられる。もちろん、衛生面に不安のある場合も多いが、私は幾度となく食べているが、一回もあたったことはないので、そんなに心配することもないと考えられる。

日本でやるなら、配給制度がいいと思うので、早く検討してもらいたい。

あと、インドネシア人が子どもを叱っている様子はあまり見かけなかった。日本だと、結構大きな声で子どもに怒るお母さんを見かけるが、インドネシアでは諭すように注意するだけの人が多かったように思えた。インドネシア人は寛容な人が多いので、そういうのが子育てにも表れているのかもしれない。

また、インドネシアでは子育ての時にはメイドさんを頼む家庭も少なくない。それは金持ち家庭だけではなく、中流家庭でもそうで、そこまで珍しいことでもない。ただ、その背景には、深刻な貧困問題があることは間違いない。日本でも家事サービスの会社は多いが、やはりとても高いので、なかなか手が出ない。

街を歩いていて、やはりインドネシアだと高齢者はあまり見かけないが、若い世代の数は圧倒的に多い。それは医療機関のせいであまり長寿ではないことも原因かもしれないが、やはり人口増加、かなり活気のある社会である。ベビーブームがずっと継続しているような感じで、日本から見ると羨ましいが、そんな社会の子育ては、あまり子ども一人一人にお金や労力はかけず、社会のなかで、子ども同士で成長していくというような感じにも見える。ある意味、放任主義