スーパースターについて

大谷翔平選手は日本人初のMLBのMVP となるかならないか、毎日ニュースはそんな報道をしているが、まぁ、仮にMVPに選ばなかったとしても、それは、もし今年の成績で選んでしまえば、来年以降それを上回った場合、毎年、大谷翔平がMVPになってしまうからだろう。活躍ぶりや人気からすれば、申し分ないはずであるが、大谷翔平のような特殊なものの場合、競争相手が他にいないので、本人も超えられないような成績が出ないとMVPにはなれないのかもしれない、全体のバランスの問題で。

さて、話は反れたが、そんな彼の活躍を日本から応援していたら、ふとスーパースターになるにはどうしたらいいのだろう?なんて考えていた。

そもそもスーパースター、またはスターだけでもいいが、どんな人だろうと言えば、人気があって、何かに長けていて、憧れや尊敬の的、そんな人物だろう。野球界では、大谷翔平は間違いなくスーパースターだし、サッカー界では、ペレやメッシ、音楽界ならマイケルジャクソン、マドンナ、映画界やテレビ業界にもスターはたくさんいる。こうしてみると、華やかな世界にしか、そして、その中でも選ばれた人しか、スーパースターまたはスターになれないんだなぁと思いを巡らせていた。

スーパースターのことを考えた後で、自分の仕事に戻ると、なんだか自分が限りなく小さな存在に思えてくるから面白い。普段はあまりそんな感覚はないが、何かの仕事が終わっても、拍手喝采されるわけでもないし、お疲れ様くらいは言われても、ヒーローインタビューを受けるわけでもないし、次の日の新聞の一面を飾るわけでもない。そんな社会の片隅で細々と生きている自分には、遥かに遠い存在、それがスーパースターである。

ところが先日、ふとスーパースターは身近にもいることを発見した。いや、正確に言えば、元々知っている人なので、発見というより、彼こそはスーパースターだと、気がついたという感じかもしれない。私は仕事上、多くの他社の人と関わることが多いが、その中でも数人、ズバ抜けたサラリーマンに会うことがある。あえて言うなら、スーパーサラリーマン。それは、昔のサラリーマンのような、たくさんがむしゃらに働いて、たくさん成果を出して、というタイプではなく、今回私がスーパースターだと思った人物は、会議などで交渉力があり、技術に明るく、自分の部下に尊敬されているようなサラリーマンであり、彼のことを、今回大谷翔平、そしてスーパースターについて考えていたら思い出したのだ。

もちろん、彼の会社名や役職、ましては名前は公開出来ないが、少しだけエピソードを紹介したい。数年前に多くの会社が一同に介して、それこそ50人以上が集まるような会議で、各社ごと発表をするのだが、彼の発言の際にはみんな一斉に黙る。彼の会社は契約関係上の上位にいるわけでもないが、上位にいる客先であっても、または同じサブコンの会社であっても、彼は有名人であることや彼の言うことが的を射ていることなど、色んな要素があると思うが、みんなが彼の発言だけはしっかり聞こうとする。他の人の発表というのは、大人数の会議なので、別の話を小声でしながらとか、パソコンでメールでもしながらという聞き方されることが多いなか、彼の発表はみんな真剣に聞くのだ。そして、次に面白いというか、スーパースターだなと思うエピソードとしては、その会社の人達が、色んな場面で、特に興味深いのが、客先との交渉の場でそのスーパースターの名前を出し、彼がこう言っているのでお願いします、なんて言っているのを聞いたことがあることだ。普通は、自分の会社の人の発言を引用して、何か印籠の様に使うことは出来ないが、このスーパースターの場合には、客先にも信頼を得ているし、その発言が重いことを十分に承知しているからこその引用なのだろう。それを聞いた客先もなんと、それなら仕方ないと引き下がっていたので尚更である。スーパースターはその場にいなくても、影響を及ぼせるということなのだ。そして、私も何度かそのスーパースターと話したことがあるが、とにかく人当たりが良くて気さくである。野球好きなどこにでもいるおじさんという感じで、スーパースターというイメージからはかなりかけ離れている。これがなかなかサラリーマンの中からスーパースターを見つけ出すのが難しい部分ではある。

だから、もしかすると見つけにくいだけで、彼みたいなスーパースターが実はそこら中にいるのではないか?と思い始めた。例えば、駅員さんでも、歯医者さんでも、レストランでも、その分野のことなら右に出る者がいないとか、どんなトラブルも解決しちゃうとか、一般的にはもちろん知られてない人であっても、狭い範囲かもしれないがその中でずば抜けてすごい人物はいるはずで、その範囲の中でその人は、スーパースターであり、MVPなわけである。

そして、小学生の頃など、将来の夢というと、野球選手、サッカー選手、歌手、最近ではユーチューバーもあるらしいが、やはり一般的なスーパースターがいるような職業が並ぶ。しかし、どんな仕事に就いたって、その道を極めていけば、そして人間的にも素晴らしければ、スーパースターになれるんだと、息子には伝えようと思った。

 

そしていつか自分もスーパースターになれるかも知れない。 

そう考えながら、大谷翔平のMVP発表を待っている。