成人について

今日は成人の日であるが、日本において、成人を18歳にしようという動きがあり、2022年の4月からは、正式に18歳から成人となる。引き上げるのならまだ分かるが、どうして下げるのか、よく理由が分からない。そもそも、成人の日がハッピーマンデー制度の対象になってしまったのも残念だ。我々の時代は1/15に固定されていたので、特別感があったが、今や海の日のような扱いで、少し可哀想な気もする。

それはそうと、まず、現在の日本社会は大卒または大学院卒で働く人が多くなっており、20歳というとまだ学生の人が多く、社会人になっている人はあまり多くはない。学生時代にあなたはもう大人だとか、大人としての自覚を持てと言われても、親からの仕送りをもらって生活し、社会との関わりもないなかでは、私の経験からも社会的な責任など考える術もないように思う。だから、20歳までに就職しろというわけではなく、今の複雑化した世の中で、みんなが色々経験したり、勉強しないと働けない社会の中では20歳で成人というのは少し早い気がするのだ。

また生物学的観点から言うと、寿命が長くなっていることから、成熟する、つまりは成長するのも遅くなっているような気がする。例えば50年前の20歳と最近の20歳では、10歳くらい離れているような印象がある。平均寿命が60歳くらいの時代と人生100年と言われる現代の日本人では当然、20歳の成熟度は違うと思わざるを得ない。そう考えれば、平均寿命が延びた分、成人とする年齢も遅らせてもいいはずである。よって、私は今の状況とは逆に成人というのを30歳にしてはどうかと思っている。

そして、成人式で暴れる人も毎年問題にはなるが、成人式を30歳にやれば、そんな人はだいぶ減るのではないかと思う。また、それよりも成人式の30歳にすることで効果があると思うのは、地元に戻って旧友と再会するのに、それぞれ色んな場所で活躍してから会う方が面白いし、その後の人生に役に立つはずだと思う。18歳だと、高校の卒業と同じで、例えば小学校時代の友人と会ってもまだそんなに時間も経っていないし、特に情報交換してもあまり意味がない年齢でもある。そもそも、多くの人は大学受験だったり、就活だったりで忙しく、旧交を温めるという気持ちにもあまりならないだろう。

社会に出るのが遅くなったこと、平均寿命が長くなったこと、成人式で暴れること、旧友との情報交換のこと、などを考えると、やっぱり成人式は30歳がいいように思うのだ。

 

そして、私は常々思うことがある。それは、この世の中は、30代、または40代(ミドル世代)のためにあるのだと。子育てをしていると、子どもはほとんど好きなように出来ないので可哀想だと感じる。好きなもの(お菓子)を好きなだけ食べられないし、おもちゃだって買ってもらえない。レストランやスーパーで走ったり騒いだり出来ないし、我慢しないといけない。もちろん、ミドル世代もこれらを守らないといけないが、そもそもそんなことをしたくもないし、意識しなくても守れる。何故なら、こういうのは大人が作ったルールだからだ。大人に都合のいいルールなのだ。

高校生や大学生も、勉強やら部活やら、恋愛も友人関係も本当に悩みの多い時期である。確かに青春時代と言って人生の中で最も楽しい時期ではあるが、それは"後から考えると"、という感じで、当時は色んなことで悩みもがき、大変だったように思う。ミドル世代はすでに結婚して恋愛の悩みからは開放されてる人が多いし、友人関係も毎日嫌いな友達と顔を合わせるということもないし、仲の良かった友人とだけ交流出来るようになるし、落ち着いてくる。また、高校生や大学生は親の干渉化にあること、お金もないこと、などから趣味などに費やせる時間、労力、資金もだいぶ少ない。そして、50代以降の世代になれば、色々な能力が下がってきて、特に病気との付き合いが始まってきたり、老後の生活とかの不安に襲われ始める。

ミドル世代は、20代までに培ってきた能力とか、人間関係とかが実り始めてくる時で、仕事でもプライベートでも、まさに人生を謳歌する、または出来る世代である。また、お金も少しずつ貯まってきている時期でもあり、美味しいものを食べられるようになったり、旅行や遊びの枠も広がる。または、車を買ったり、家を買ったり、家族をもったり、きっと昔はこれが20歳だったのかもしれないが、今はミドル世代である。もちろん、仕事でも20代のうちはどの世界でも見習い的な立場だったりもして、仕事に振り回されるというか、どうしても受動的な感じになりがちだが、30代になってくれば、だんだん仕事を主体的に動かせるようになってくる。そして、40代になれば責任のある立場になってきて、益々仕事が楽しくなってくる。

よって、成人というのは、この社会が色んな意味で見え始めるミドル世代になる30歳というのが一番いいように思う。もちろん、もっと早くミドル世代のような生活になる人もいるかもしれないが、お金や仕事面ではそうでも家族がまだだったり、家族が出来てもお金的にはまだだったりもするだろうし、どんなことがあっても、18歳で成人式をやるよりは絶対に良いはずである。だから、この時期に旧友と会えば、まずは懐かしいだろうし、お互い変化もたくさんしているだろうし、いい意味で刺激しあえるだろうし、色んな分野の情報交換も出来るだろうし、18歳では到底こんな感じにはならないと思う。

やるなら、新たに18歳で元服式と言うのにして、和服でも、スーツでもいいが、正装をして、少年少女を卒業し、青年になる儀式でいいのではないかと思う。これからは、

①生後〜6歳 幼児

②6歳〜18歳 少年少女

③18歳〜30歳 青年

④30歳〜50歳 第一成人

⑤50歳〜70歳 第二成人

⑥70歳〜90歳 初老

⑦90歳〜   老人

こんな感じで、④の始まりを祝う会として、成人式があるべきだと思っている。③のところにやる儀式も、④で成人式をやるなら必要ないかもしれないが、何か③のタイミングでもやりたいというのであれば、名前を元服(もともと15歳くらいでやっていたもの)にして、七五三のような感じでお宮参りと正装して写真みたいなものにすればいいのかなと思う。まぁ、⑥を初老とするには幅が広過ぎると思われるかもしれないが、最近の80代は本当に若く、活き活きしている人も多いので、あえてそうしてみた。

なにはともあれ、本日成人を迎えた皆様とそのご家族には、おめでとうございますと伝えたい。きっとご両親にとってみれば、20歳までというのが一つの子育ての目標だったとも思うので。