最近ネットを賑わせているのが、ユーチューバーのヒカルさんがとある芸人(名前は今の所、非公表)にバカにされたと怒っているというニュース。
もちろん、ヒカルさんの発言の全てが真実ではなく、一部誇張していたり、またはそもそも炎上商法ではないが、話題作りのためのデキレースかもしれないし、真相は不明だが、ヒカルさんの発言にはいくつか大事なことがあったので、少し取り上げてみようと思った。
このニュース自体を知らないという方は、以下。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a1f577a3256da47aaf50167e520f12aee61c9798
まず、一番言いたいことは、どんな職業も尊敬されるべきであるということ。お金をもらってやる事は全て価値があり、尊い。だから、この芸人の発言の、ユーチューバーなんて所詮、、という言い方は失礼極まりないし、職業差別である。私は色んな差別がある中で、職業差別が一番嫌いというか、すぐにみんな止めるべきだと思っている。また、テレビの真似事だと言うのであれば、何故テレビが凋落して、ユーチューブが活況なのか、そこは逆に芸人側が考えないといけないことなのかと思う。ユーチューブにはユーチューブのニーズがあり、ユーチューバーは他の仕事と同様、立派な職業であり、バカにするのはおかしい。
そして、ヒカルさんもヒカルさんで、その場では言い返さずに、自身のユーチューブで告発するあたり、話題作り感がどうしても出てしまう。自分の職業をバカにされたら、やはりその場で何か言うべきだし、そんな出来事をわざわざ動画にして配信すること自体、本当に腹立っていたらやらないんじゃないかなと思う。動画内では話を振られる形でこの件を話し出すが、当たり前だが、これは台本通りなのだろう。面白いのが、バカされた食事会では何も言わなかったのに、動画では、かかってこいよ!みたいな挑戦状を出している。そして、この芸人が名乗り出て対決という形になればまた話題沸騰で収益アップとなる。この辺りは、さすがとしか言いようがない。私がこの件を取り上げることも術中にはまっているのかもしれないが。
次に、ヒカルさんが言うのは、年収の話。稼いでいるからすごいとか、なめるなとか、そんな発言だが、逆に稼いでいなかったら、ユーチューバーをバカにして良かったのか?という疑問が残る。私は稼ぎの多い少ないはその職業の価値とは全く別物であり、価値の高い仕事が給料の高い仕事ではなく、仕事は一律に価値が一定だと考えているから、ヒカルさんからこの言葉が出た時点で、ヒカルさんもまた職業差別をしかねない人なのではないか?と思ってしまった。同じ穴のムジナと思われても仕方ないのかなと。
また、芸人とユーチューバーの年収の違いは、テレビはあまりに多くの人が関わり、またチャンネル数も限られていることから、そもそもお金が色んなところに分散してしまうし、出演することもかなり狭き門であることから、余程の売れっ子ではない限り、年収は低くなってしまうが、それを理由にマウントを取るのはやはり違うようにも思う。
そして、最後は、ヒカルさんがテレビ進出をほのめかし、トークは上手いと自画自賛する場面。トークの上手さとは何だろうかと考えてみると、頭の回転とか、オチのつけ方とか、表情や動作とか、笑いを取るための技術みたいなものはたくさんあると思うが、空気というか雰囲気作り、または今の雰囲気に合った発言をすることが実は一番重要なんじゃないかと思う。どんな人たちが、どんな状況で、どんな気分で聞いているのか。ユーチューバーと芸人の一番の違いは、多分劇場やらステージなど直接的お客さんの前で何かを披露するという経験かもしれない。もちろん、ユーチューバーもそういう経験が乏しいとは言わないが、芸人の比ではないように思う。目の前にいるお客さんを笑わせるのは、みんなが見たい時に見るユーチューブとは少し違う。もちろん、ユーチューブはユーチューブで難しいことも多いが、トーク力という意味からすると、芸人にもよるだろうが、やはり芸人の方が一日の長があるように思える。実はこのトーク力、サラリーマンの私でも、同じサラリーマンの中で、トーク力すごいなぁと思える人やそうでない人がいて、すごいなぁと思える人の多くは、空気が読める、作れる人である。カメラに向かって話すのと、人前で反応を見ながら話すのでは、やはり違うのは、この辺りではないだろうか。
また、今回の芸人の発言の中で、ユーチューブなんてあと2、3年で終わるというものがあったようだが、ユーチューブにはテレビ以上にたくさんのコンテンツがあり、面白いだけでなく、学ぶとか、共有するとか、色んな要素があるので、同じような動画サイトが出来て、投稿者が広告収入をより得られるものが出来ない限り、ずっと続くだろうし、ユーチューバーも安泰だとは思う。家に固定電話を置かない世帯が増えているのと同様に、wifiはあってもテレビは買わないという人も増えているから、むしろスマホでユーチューブの方が一般的になりテレビより視聴者が増えるだろうし、テレビは今のラジオのようになっていくかもしれない。ただ、ユーチューブは残っても、ネタ切れで動画が配信出来なくなり、消えていくユーチューバーも多いので、それに関しては何とも言えない。
そして、なんとなく稚拙なやりとりをお互いにして、大きな騒動にし、色んな芸人がそれに乗っかる形で盛り上げているが、どのような結果になろうと、つまり芸人が名乗りをあげて対談するにしても、このまま雲隠れしても、そもそもこの話自体が作り話だとしても、勝者はこの騒動で知名度をあげ、動画再生回数を上げたヒカルさんだったりもする。ユーチューバーにとって一番の急所、それはネタ切れである。それをあの手この手で乗り切ることが彼らの使命だとすると、今回の騒動もその一端なのかとも思えてしまう。
私も本来このようなニュースを取り上げることはしないのだが、今回は職業差別の問題、年収と価値の問題、トーク力の問題など、私の琴線に触れることが多かったので、取り上げさせてもらった。