中毒について

中毒と聞くと、何を思い浮かべるかと言えば、一番有名なのが、アルコール中毒だろう。次に、ギャンブル中毒、そして薬物が三大中毒であろう。その他にも、ニコチン中毒、ゲーム中毒、恋愛(性行為)中毒、過食・拒食中毒、などもあり、最近ではスマホ中毒も問題になっている。

しかし、不思議なことがある。三大中毒のアルコール、ギャンブルは日本ではほとんど規制がなく、アルコールはコンビニで手軽に手に入るし、公共の場(道路や電車)で飲むことも規制がないし、ギャンブルもカジノには抵抗のある人も多いが、パチンコやスロットを筆頭に、競馬、競輪、競艇なども盛んである。もちろん、薬物はかなり規制があるが、ゲームも日本はかなり多くの人が依存症になっているし、キャバクラやホストクラブなどの疑似恋愛の施設も多く、過食や拒食を煽るダイエット情報も多数ある。しかし、何故かタバコだけは近年とても厳しく規制が行われ、中毒症状のない喫煙者まで、とても片身の狭い思いをしている。このアンバランスさがとても不気味なのである。

まず、アルコールはというと、酒は百薬の長とも言われ、アルコールを摂取することに抵抗のない人は多い。しかし、日本程酔払いが街を歩いている国も珍しい。摂取量だけで比べれば、日本は確かに欧州などに比べて低いかもしれないが、アルコール耐性というか、そもそも人種的にアルコール分解能力の違いもあり、酔払いの数はやはり日本が上回っている。アルコールというのは、判断能力を鈍らせ、時に暴力的になって暴れたり、時に秩序を乱したり、モラル違反をしたり、飲酒運転などの問題もあり、社会問題の一端を担う有害なものでもある。

ギャンブルはどうかと言えば、確かにアルコールのような暴れ方はしないにしても、借金をして破産をする人が後を絶たない。辞める辞めると言いながら、ギャンブルの依存性は高いとされ、ハマると抜けられないとも言われるが、街にはパチンコ店が至るところにあり、その他のギャンブルも手軽に楽しめてしまう。ラスベガスで有名なアメリカもここまで多くのギャンブルが身近にあるわけではないので、世界でもとても希有な光景である。

ゲーム依存もハマると家から出られなくなったり、疑似恋愛も巨額のお金を使い込んでしまう人がたくさんいる。ダイエットなんかも、痩せろ痩せろと必要以上に迫り、もちろん肥満は問題かもしれないが、人にはそれぞれ適正な体重、体型があり、痩せることが必ずしもその人の適正な体型でないこともあるし、逆に美味しいグルメをテレビ等で過剰に紹介し、食べさせることも全く規制がない。

しかし、タバコはどうだろうか?今ではほとんど喫煙できる場所がなくなり、タバコ税はどんどん上げられ、パッケージには健康被害の忠告が大々的に書かれ、喫煙者は就職にも不利になるという差別とも言える動きが加速している。これによって、喫煙者は年々減っており、それ自体は非常に良いことにも思えるが、ただ、よく考えたいのが、タバコを吸って、判断能力が低下し、暴れたり、事故を起こす人がいるだろうか?タバコを買って、借金をして自己破産する人がいるだろうか?健康被害はあっても、過食や拒食のようにすぐに出てくる人もそうそういない。ヘビースモーカーでも、何十年と続けても健康に生きてる人もいる。また、副流煙が迷惑とも話もあるが、確かに健康にいい煙が出ているとは思わないが、自動車の排気ガスと比べてどうか、工場の煙とか、黄砂など、そういうものと比較してどれ程のものなのだろうか。また、喫煙者が臭いというのもよく言われるが、それこそ臭いというのは、体臭もあれば、香水もあれば、ニンニクなどの食べ物もあり、みんなそれぞれあるわけで、喫煙者だけ臭いと言われてしまうのも違和感がある。

タバコに関する規制を緩めろと言うつもりもないし、逆にアルコールやギャンブルなどの規制を強めろというつもりもないが、国として何を目指すのか、ということを考えるべきだと思う。不公平な規制や無意味な規制、または逆に規制すべきものを野放しにしていることなど、一度国として、中毒についてどう対処すべきなのか、立ち止まって考えてもいいように思う。

例えば、薬物は世界中の他の国と同様に、ものすごく規制している。その理由は、薬物をやれば幻覚を見てしまったり、それこそ秩序を乱す行動をしてしまったり、非合法なので値段が高く、借金をしてまで買うことで破産するなど、健康、秩序、金銭の全てにダメージが出るため、社会を守るためには薬物を排除することは必須である。これには何の異論もない。むしろもっと厳しくしてもいいかもしれないと思うくらいだ。しかし、薬物と一言で言っても色々あると思うので、本当に害のあるものとないものを区別してもいいかもしれないとは思う。依存性の低いもの、幻覚症状などが出ないもの、カフェインくらいの効果なもの、日本で昔から親しまれているもの、などなど規制のかけ方に差はつけてもいい気はするが、そこは何も知識がないのでここでは書かない。

そこで同じ三大中毒にあって、薬物とは違い、アルコールが何故認められるのかと言えば、アルコールによって、ストレスが解消されたり、付き合いが円滑になったり、負の効果以上に、プラス面が評価された結果なのかもしれない。また、アルコールは古くから日本では飲まれていて、今更、規制をかけるのはおかしいとも言える。ロシアではアルコールで早くに命を落とす人、または仕事をやらなくなる人が多発し、アルコールを全面的に禁止したこともあるが、上手くいかなかった。それくらいアルコールには依存性があるが、特に規制はない。

ギャンブルはどうか。アルコールのようなストレス解消効果はあまりないし、ギャンブルにより、交友関係が多少広がることはあっても、人間関係の構築のためにやるという人はあまりいないだろう。しかし、これによって経済効果はかなりある。いつでも多くのお金が動き、経済を活性化させる要因にはなる。よって、ギャンブルを規制することは避けたいという思惑はあるのかもしれない。しかし、その裏で破産する人が出ていることを考えると、どうなのかという気もしてしまう。

要するに、何が社会にとって必要で、何が不要なのかを吟味しながら考えると、タバコはそこまで規制する必要があるのか、ますます疑問になる。

例えばゲームも中毒者は多いが、それもゲーム産業があり、市場規模が大きいし、疑似恋愛に関してもやはり経済的な観点からもすごい大きなお金が動く。

つまり、中毒者が出ても、それなりに社会的な効果があれば規制しない、というのが日本のやり方だと思える。

そして、タバコについて考えてみると、タバコミュニケーションと言って、喫煙所でリラックスしながらする会話で解決する問題も多いと聞く。また、喫煙運転で大事故を招いたという事例はほとんど聞かない。むしろ、飲酒運転や携帯電話(SNS)依存性で携帯電話を見ながらの運転の方が断然危険である。健康被害も、もちろんあるが、他のものに比べると軽微にも思える。日本では喫煙が伝統的にあり、江戸時代には9割以上の人が喫煙していたということも言われており、飲酒と同じことが言えそうだ。

https://edo-g.com/blog/2016/09/cigarette.html

江戸時代の喫煙事情はこちらを参考に。

 

また、お店の中でタバコを吸う人がいると、副流煙や服に臭いがついて迷惑だということも言える。しかし、迷惑というのは、人が生きている以上、かけてかけられるものだ。例えば、以前の記事にも書いた犬の散歩で人の家の塀にオシッコさせたり、ウンチさせたりする飼い主。タバコの煙よりもかなり迷惑だが、そこに規制はない。不妊治療している人の目に入る幼稚番組は大迷惑らしいが、それで幼児番組を流さないということにはならない。誰かにとっての利のある行動が迷惑とは言っても、それは我慢せざるを得ないことも多い。タバコだけが非難されるのもやはりおかしい。タバコは悪というレッテルを貼られていることから、タバコに関しては何を言ってもいいという風潮がある。

また、経済効果についてだが、タバコは農産物なので、日本の農家で栽培し、加工し、売れる。よって、国内の様々なところにお金が落ちるので、経済効果は高いように思える。キャバクラなどはほとんどシャンパンの売り上げで成り立つが、そのシャンパンは輸入なので、それがいくら売れても日本としてはどうなのかという疑問はある。もちろん、タバコも輸入品もあるが、次に地方税の寄与が大きいことである。https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20211007-00262057

この記事を読むと、地方税だけで一兆円あるというから、経済への寄与はかなり大きいようにも思う。ギャンブルの中でもパチンコは売り上げが日本から出て行っているとの噂もあるので、経済的な寄与は小さいにも関わらず、そして中毒者が健康だけでなく、破産に追い込まれてもなお規制が弱い。

また、ここには医療へのデメリットも書かれているが、それこそ他の中毒者との比較からすればそれが大きいのか小さいのか判断が難しいのと、そもそもタバコだけによってその病気になったのかも分からない。

酔払いが街で暴れたり、駅員や乗客を殴ったり、道端で嘔吐したりするなかで、喫煙者は大人しいものである。歩きタバコやポイ捨ても問題だが、それはもうほとんど見かけなくなっているように思う。

書いているうちにタバコ擁護論みたいになってしまったが、全くそんな事を書きたいのではなく、あくまで国としてどうしたい、どうすべきなのかを考えるキッカケを作りたいだけである。

個人的には、以下である。

パチンコの規制は緩すぎるが、競馬競輪競艇などはこのままでいいように思う。アルコールは飲酒運転だけでなく、酩酊状態乗車禁止とかあってもいいように思う。薬物は、規制してるのかもしれないが、どんどん増えている気がするのでもう少し本腰を入れてやったらどうかと思う。ゲームとスマホは、大人はもう仕方ないが、子どもをどう依存から防ぐか、もっと考えた方が良い。疑似恋愛系は、輸入品のシャンパンやプレゼントとかに外国高級ブランド品が出回るが、そういうこをやめて国内製のみとかにすればいいように思う。ダイエットはテレビやマスコミ全般的に、痩せることへの強要がすごいので彼らに少し規制を加えた方が良いようにも思う。これは女性だけでなく、男性でも悩んでいる人が多い。

 

ただ、最後にこんなことを書くのはどうかとも思うが、人間の心はそこまで強くなく、何かに依存することで精神を安定させているとも言える。酒と泪と男と女、ではないが、時にアルコールは必要であり、ギャンブルで満たす寂しさがあったり、疑似恋愛しか愛情を感じられなかったり、タバコをふかして怒りや憂鬱を吹き飛ばしたり、ゲームやSNSで現実逃避したり、色んな人が色んなものに依存することで生きられているという現実もまた理解する必要があり、中毒という症状はなくても軽度の依存は仕方ないかもしれないし、それをどんどん規制していけば、逆に社会不安になる可能性がある。

よって、中毒と社会、今後どうしていけばいいのか、考えてみたい。