ウクライナ問題について part3

いよいよ、日本の敗戦が濃厚になってきた。

えっ?日本は戦争に参加してないよね?と思うかもしれないが、ロシアから見れば、NATO側と一緒になって経済制裁をしている時点で戦争に加担しているわけで、今後ロシアから武力侵攻される可能性まで出てきた。例えそこまでの話にならなくても、すでに貿易などでは大きなダメージを受け始めている。

ここで考えたいのは、経済制裁をすればするほどプーチン氏は強硬になる、つまり戦火は広がる、犠牲者は増えるということである。ロシアやプーチン氏を打倒することが日本の目標ではないはずで、あくまでウクライナで犠牲となっている人々にどうやって平和を与えるか、つまりはどうやって戦争を早く終わらせるか、考えるべきなのだ。これはNATOとか、その他のヨーロッパ諸国と日本が全く異なる点である。確かに、日本にとってもロシアは脅威ではあるという面は持ちつつも、NATOが考えているものとは全然違う。むしろ日本にとってロシアは、文化的そして経済的な友好国であり、NATOのようにウクライナに武器を渡して、打倒ロシアの代理戦争を仕掛けていくような流れに日本が加担するのはおかしいと思う。何故なら、NATOとしては、戦争を終わらせたいというより、この流れの中でロシアを苦しめたい、あわよくば倒したいと思っているわけで、日本の思想とは相容れない。今は、反戦=反ロシアとしての報道が多いし、悲しいのは私の好きなロシア人ユーチューバー(安涼奈さん、ピロシキーズ)も、このような視点で話していることだが、反戦=反ロシアまたは、反プーチンというのはNATO側が作り上げた正義の構図で、さらに言えば、彼らのスタンスは、ロシア対ウクライナの戦争にNATOが悪党ロシアに侵略されるウクライナを助けるといった勧善懲悪ストーリーを作っているが、前の記事でも書いたように、そもそもNATO側の東方への進出が問題、つまりは火種になっていたわけで、NATOは間違いなくこの戦争の当事者なのだ。よって、日本はこの問題を冷静に外から見えるわけで、誰がどう動けばこの戦争が防げたのか、また早く終わらせることが出来るのか、考えられるポジションにいるのではないかと思う。ここで、NATO側と一緒にロシアへの経済制裁をするというのは、反戦ではなく、ロシアへの宣戦布告であり、NATO側の一員になることになる。この部分が日本の報道では曖昧で、日本政府として、この戦争を終わらせるためにロシアへ経済制裁をするという声明だったが、経済制裁では終わるどころか戦争は激しくなるし、ロシアへ、というのも違う気がするわけだ。むしろ、NATOに対して、もっと警告すべきだったのではないかと思う。

まず、経済制裁の多くは、トランプゲームの七並べと同じようなもので、制裁する側も痛みを伴う。平時であればお互いにどんどんカードを並べていき、パスをしないままスムーズにお互い出し切れるようにするものが、経済制裁というのを七並べで例えるなら、相手が困りそうなカードを止めたり、わざとパスをして膠着させたりするようなもので、痛みを伴う。その痛みの大きさで勝負するわけだ。経済制裁をする側が一方的に有利なようにも見えるが、実はそうではない。何故なら、もし有利なら平時からそうしてるはずなのだ。つまり、経済制裁を発動し、ロシアから魚介類や天然資源の輸入をしません、という場合、確かにロシアも売れなくて苦しいかもしれないが、買えない日本、つまり日本国民はもっと辛いのではないだろうか?また、ロシアの経済規模からヨーロッパとの取引がなくなるのは痛手かもしれないが、日本とのやり取りはそれと比べれば微々たるものであり、例え貿易を続けたにしてもロシアの軍事費用の足しにはそんなにはならないはずである。よって、日本による経済制裁は日本人を困らせ、ロシアに対してダメージを与えるというより、ただロシアに嫌われただけ、という印象だ。でも、NATO側には媚を売れたと思うかもしれないが、彼らはこの戦争の当事者であり、経済制裁のみならず武器を提供してウクライナに代理戦争させているわけだから、日本は単なる属国としか思っておらず、武器渡せないなら、経済制裁を一緒にやらせて、あとは金を取ろうとしか思ってないので、経済制裁をやらなければ大きな仕打ちが待っているだろうが、やったからと言って彼らから評価されるわけもなく、当たり前として受け止められる。アメリカとヨーロッパは仲間であるが、日本は彼らの仲間ではない。日本の報道ではそう言ってるかもしれないがNATOだの、アメリカだの、EUだの、とにかくそういう欧米諸国は日本のことを仲間だなんて全く思ってない。もちろん、民間人レベルでは日本人とか、日本文化とかが好きだという人が多く、友好的ではあるが、政治は全く別だ。

そして、肝心なのはここから。

まず、アメリカという国は、国土も広く、農作物や天然資源が豊富な国である。これはロシアも同じで、こういう国は経済制裁する側になっても、される側になっても比較的強い。しかし、日本は食料も、天然資源も乏しく、輸入に頼っている部分が大きい。よって、日本は平和的に貿易を続ける方が良いというレベルではなく、続けないと立ち行かなくなるというレベルなのだ。

つまり、全くアメリカとは置かれた状況が違うので、アメリカの言いなりになって経済制裁の輪に入ったものの、払う代償が違い過ぎる。これが日本の敗戦ということの理由である。ヨーロッパの国々も、アメリカやロシア程豊かではないが、仲間からの支援が受けられる。日本はこの戦争が終わってもロシアとの関係は改善されないだろうし、当事者である欧米諸国に協力して経済制裁をしたのに、多分助けてもらったり、何か特別な御礼をされることもなく、今まで通り、属国的な扱いを受けるだけで、戦闘機を買う時だけ頼りにされる存在なのだ。反戦というイデオロギーのために、協力すべきだというが、先程も書いたように、それは余計に戦火を広げているので、それとも違う。

しかし、世界の反戦ムードに水を差すようなことはすべきではない、日本も戦争を始めたロシアに抗議すべきだ、という話もよく聞くようになった。まず、先程も書いたように、今の世界のムーブメントは、反戦ではなく、反ロシア反プーチンであり、本来日本が訴えてきた反戦とは違う。しかも、一番の問題は何かと言えば、世界と書いた時に我々は本当に世界を見てなくて、アメリカやヨーロッパの言うことが、世界の意見だとずっと思い込んでいたことだ。今回だって、中国+インドで世界の1/3近くの人口を占めるが、どちらともロシアを批判していない。つまり、アメリカやヨーロッパよりも多くの人を抱える国がロシアを批判していないのなら、世界が、と書くのはそもそも間違っている。要するに、ロシアに経済制裁をしないことが、世界の標準に合っていないということはなく、あくまでアメリカやヨーロッパと違う立場である、ということだけなのだ。むしろ、世界はNATOの動きを懐疑的に見ていて、日本の報道では流れないが、中東にしたって、東南アジアにしたって、その歴史から、欧米のやること、言うことを信じている人の方が少ないのではないか?

だから、ますます日本がロシアに経済制裁したり、NATOに加担してロシアを批判したりすることが滑稽に思えてしまうのだ。これでまた北方領土の話し合いもやりにくくなり、胸を痛めている人も多いだろうと思う。

では、日本は何をすべきか。

私が思うには、まず終戦後の世界を想像することが大事だ。日本国民を守るためには、ウクライナとも、ロシアとも、そしてNATO側とも正常な関係を築けることである。どちら側かにつかないといけないなんてことはないはずである。もちろん、どちらかが明らかに日本にとって不利益、または敵であるなら別だが、今回、冷静に見ればどの陣営も日本にとって脅威でもなければ、正義も悪もない。

だから、経済制裁をやめ、そこで得たお金をウクライナの復興支援に使いたい。キエフに日本館(江戸城のような外観)のようなものを作って、食料や医療、衣服などあらゆるものを無料で提供する施設を作ってまずは市民を助ける。今考えているのは、一階には食料の配布施設、二階に医療関連、三階には日用品や衣服、四階は子ども用の施設。終戦後一年くらいは続けて、落ち着いてきたところで、ウクライナ政府にその建物を無料譲渡し、ウクライナの人々が使いやすいように使ってもらう。

その他、鉄道やら発電所やら水道などインフラの整備も無料とは言わないまでも、ウクライナの負担にならないような形で作っていく。それこそ、ロシアとの貿易で稼いだお金の一部を使って支援すればいい。

意味のない経済制裁で失うお金を考えれば、日本国民の生活を保ったまま支援できることを考えるべきなのである。

日本がこの戦争で経済制裁や今後予想される"金出せ圧力"で疲弊し、実質的な敗戦国にならないよう、日本は独自で考え行動し、真の日本国民のための、または世界市民(欧米市民ではなく)のための、日本政府であって欲しい。