ウクライナ問題について part4


一番の敗戦国は日本という記事を書いてから、日に日にそれが決定的になりつつあるように思うが、決定的になるのが、バイデン訪日。いつも通り、高額な武器を売りつけるのだろう。なんでそうなるのか、それはアメリカがウクライナに提供している武器の赤字を補填しないといけないので、日本に金を払わせるという単純なアメリカ的思想の結果だと思われる。以前の記事にも書いたように、日本はロシアとの貿易を止めてしまい、大損しているというのに、アメリカにはお金をむしり取られ、ウクライナには支援国として認識されず、正真正銘の敗戦国となる。それはさておき、今回はまた別の視点から書いてみたい。

この戦争が始まってからプーチンに関する記事がとても増えた。私は高校時代に、プーチンの半生というようなレポートをまとめたことがあったので、新しく知ることというのは意外と少なかったが、彼が力の信者だということをとにかくどのメディアも書いていたのが印象的である。特に思春期あたりに彼が路上などでケンカに明け暮れ、その中で学んだことが今も生き続けていると。そして、闘う時は徹底的に最後までやる。

ところで、私が大学時代にロシアに短期留学をした際に買ったお土産がこれである。これは、レーニンから始まり、スターリンフルシチョフ、ブレジネフ、ゴルバチョフエリツィン、そしてプーチンといったロシア(旧ソビエト)の歴代指導者の人形である。


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今からもう15年近く経つのだが、未だに政権のトップに君臨しているのは驚きである。もちろん、その前から大統領だったわけなので、彼の頭の中には世界の政治のほとんどが鮮明かつ深く刻まれているのだと想像する。

よって、今回の戦争について、プーチンの計画は、特にアメリカを中心としたNATOの動きや北欧諸国、日本、中国、インドの動きは予想をさほど外れてはいないだろうし、その各国の動きに対応する政策も将棋の棋譜を読むように進めているという印象を受ける。

ただ彼が予想していなかったことも当然起きているとは思う。それはロシア兵の動きである。日本でのニュースを見ていると、世界にウクライナ支援の輪が広がり、各国が武器を供与しており、平和を求め、一致団結して、ロシアを駆逐している、というような報道だが、平和を求める人は武器を供与するのか?と、一部、目的と手段が合致しているのか疑問に思う部分もあるが、戦闘民族の発想とはこういうことなのかもしれないと、そこは目をつむることにして、いずれにしても、隠せない事実として、ロシア側の被害が大きいようにも思うし、軍の統制が思うように出来ていないように見える。

戦争というのは、人と人が殺し合うことである。これは誰も否定出来ない現実であり、戦争になれば、殺人者と死人が出る。市民はもちろんだが、訓練を受けた兵士であっても、平時は普通に殺人とは無縁の生活を送り、家族や友人と楽しい時を過ごしている。そんな人たちが、戦争になったからと言って突然人を殺すことが出来るのだろうか。または、殺される恐怖に何ヶ月も耐えられるのだろうか。何の訓練も受けていない私は、もし、道端で突然ナイフを持った人に襲われたとすれば、一生心にダメージを受けるだろうし、精神病を患うかもしれない。たった一回の突発的な出来事でさえ、殺される恐怖に晒されれば、立ち直れないだろうと想像する。当然、人を殺せなんて命令を受けたとしても、例えばそのターゲットが自分の大切な人を傷つけた人だとか、計り知れない恨みや嫌悪があれば分からないが、何の繋がりもない人であれば、相手を殺さずに済む方法として、自分の命を絶つことを選ぶだろう。それくらい、命の奪い合いというのは残酷であり、相当な精神的な支配をされていない限り、つまりは戦闘員は完全な洗脳状態にならないと戦場での士気は保てないと思う。

しかし、プーチンは長く政権にいて、全てを把握し、NATOの魂胆も見えていて、この戦争をするしかないと思っていたが、それが広く国民や兵士には伝わってなかったのかと思う。誰もがプーチンがストリートで学んだとされる信じる力の理論に理解を示し、賛同して、共闘するわけでない、というところに、大きな読み間違いがあったのではないか、と邪推する。

最強の武器と戦略、訓練された兵士が多くいても、結局、人と人が殺し殺される戦場では、絶対的な悪として相手を見るか、自分の上司や最高司令官を絶対的な正として見るか、とにかく洗脳されていなければ、兵士は命令に対し、常に従順というか、駒のように動くことはないように思う。特にSNSが広がっている時代に、一方通行の情報のみを流せる、または信じさせるのは難解であり、きっと上手くいかない。反対にウクライナ側は、ロシアを絶対的な悪と兵士たちに位置づけることに成功している。突然攻めてきただとか、子どもが被害にあっているとか、市民を処刑しているとか、ゼレンスキー大統領の演説も上手く、ロシアを悪とすることは容易だったように思う。

よって、何が言いたいのかと、まずSNSの時代に人と人が実際に殺し合う戦争というスタイルは時代錯誤であり、少なくても30代以下の世代は、SNSネイティブ世代(社会人前になんらかのSNS触れた世代)であり、政府や一般報道からの洗脳は受けにくい。これはロシアだけに限った話ではないとなると、今後SNSの発達とともに、戦争がなくなるのかと言えば、多分人間以外を戦闘員にして戦争は続いていくんだろうなと思う。具体的にどうなるかは想像出来ないが、いずれにしても人間は戦場から少しずつ減るのではないかと思う。それくらい戦場というのは、異次元空間であり、現在の人間には耐え難い、というところが、きっとプーチンの想像を超えていたのだと思う。もちろん、これまでもいくつもプーチンは戦争を指揮してきたし、そんなことも当然、頭に入っていたという指摘もあると思うが、きっとここまでの長期化は想定外だったのではないかと思う。そして、そうなった理由は外的要因ではなく、ロシア内部の問題であると思うので、そうなると現場の兵士の士気、これが一番の原因だと考えたのが、今回の記事の主旨である。

日本は何も良いことがなく、この戦後はロシアとの関係も長らく改善されないだろうし、アメリカやヨーロッパも日本を助けることはしないだろうし、今から戦後どうするか、日本にとって、世界にとって有難いと思われるような日本的外交を是非展開すべく、検討してもらいたい。