恋愛と結婚について

前回の記事で、軍事同盟と戦争の因果について書いたが、恋愛と結婚もまた因果関係にある。昔のようにお見合い結婚が主流であれば、必ずしもそうではないが、恋愛結婚が主流になれば、恋愛の先に結婚があるというのは普通なことである。

しかし、この2つのイメージには大きな隔たりがあり、矛盾すら感じる。

まずは恋愛と聞くと、どういうイメージを持つだろうか?それは、楽しいものとか、憧れとか、そういうキラキラしたイメージと、遊んでるとか、チャラついているとか、そんなふしだらなイメージもあり、特に学生時代の恋愛というと、教育上良くないものであり、恋愛禁止なんて言われてしまう。では、結婚のイメージとはなんだろうか?それは、幸せな家庭とか、子孫繁栄とか、そういうほんわかしたイメージと、義務とか、責任とか、そんな重いイメージもあり、特に年頃(二十代後半から四十代手前くらい?)になると、周囲からは、まだ結婚しないの?というプレッシャーがかかるようにもなる。

つまり、大手を振って恋愛出来る期間と、結婚のプレッシャーがない期間が異常に短いというのが、日本の現状かもしれない。

もちろん、そんなことはお構いなしで、恋愛は恋愛で学生時代から結婚適齢期を過ぎても楽しむという人もいるし、人それぞれではあるものの、日本はまぁ、恋愛=遊び、結婚=義務、が何となく定着している気がする。

では、他の国はどうだろうか?

例えば、欧米だと、私の感覚だと、恋愛=権利、結婚=契約。そんなイメージがある。恋愛をすること、楽しむこと、それは人間が生まれてきて、生まれ持った欲求であるから、それを満たす権利があり、いつでも自由に恋愛をすることが出来るし、むしろそうしていないと、断食をしている人のようにも思われる。そして、その先に結婚を選ぶかどうかはまた別で、結婚をしないといけないという義務はなく、パートナーをお互いに独占するために結婚するという感じで、お互いに契約して、結婚するというイメージである。だから、離婚も多くて、契約を破棄するだけという考え。離婚もまた決してマイナスイメージだけではなく、むしろ新しい恋愛に向けてスタートする晴れ晴れしい日でもある。

インドネシアムスリムの国なので、恋愛は禁止。もちろん、個人だけでみれば、恋愛を隠れてすることもあるし、キリスト教徒などもいるので、国民性というわけではないが、宗教上、そうなっていて、結婚は男性側が女性側にアプローチする前に女性側の友達や親にアプローチしてから、親同士の話し合いがあったりして、決まるとのことで、少し複雑だが、結婚=運命という感じ。特に女性側には断る自由は多少あっても、自分からはアプローチ出来ないし、事前の恋愛もないので、誰からどんなアプローチがあるのか、待つことしか出来ない。

日本の少子化問題の原因は様々だとは思うが、出産や子育ては結婚を前提にしているので、この恋愛と結婚の因果の先にある。少子化はこれまでの与党の政策の失敗のようにも見えるが、私はむしろ日本の出産や子育ての手当は相当充実していると思うし、逆に言えば、恋愛と結婚が上手く機能すれば、自然と、つまりは何も手当がなくても、出産や子育てをしたいという気持ちになるはずだと思う。もちろん、手当があれば当然その気持ちは強くなるが、子どもを産むな、と言われた時代や地域があったことから考えれば、産んでほしいと言われる社会がどれだけ幸せで健全な社会か。それだけでも、モチベーションにはなるはずなので、少子化は政策の失敗という面も多少はあるかもしれないが、主要な原因ではない、むしろ幸せな恋愛と結婚がなかなか出来ないという現実こそが問題なのではないかと考える。

例えば、学生時代に受験な妨げになるとか、部活に精を出すためとかで恋愛に距離を置き、社会人一年目になっても、恋愛に没頭したりするよりも、仕事を覚えろというのが一般的であったりする。一年目はまだ給料もそんなに高くないので、例え学生時代からの恋人がいても、なかなか結婚には踏み出せないとすると、そこで恋愛が終わりを迎えたりもし、結婚までの道のりはまた長くなる。

よって、あっという間に二十代後半になり、未婚となると、今度は打って変わって、仕事はいいから、結婚しなさいという雰囲気に周囲が変わる。すると、ここから昔のようなお見合いは流行らないので、マッチングアプリや婚活サイト、結婚相談所など、仕事を探す感覚で結婚相手を条件で探すわけだから、上手くいくこともあるかもしれないが、私は懐疑的に見ている部分も多い。

だからもっと、学業だとか、仕事だとか言って、恋愛を二の次三の次にしていた時期に、もっと恋愛→結婚という流れを意識させるべきなんだと思う。欧米のように恋愛は自由とさせ過ぎると、結婚もまた軽んじられてしまうから良くないが、人生のパートナーを選ぶということは、仕事や自己投資と同じかむしろそれ以上に大事な事だから、二十代後半から、婚活と言っていきなり始めるのは、あまりにも時間が足りなすぎると感じる。また、二十代後半から始める人は実際は少なく、三十代から始める人が多い。となると、必然的に高齢出産、そして不妊治療という事例も多くなる。

また、とても冷静に結婚を分析すると、結婚が人生にとってあまり幸せな選択ではないことにも気がつく。結婚しても、離婚をするカップルが3割近くいること、老後一人になるのが嫌だと言っても結局夫婦同時に他界することはあり得ないし、子どもが産まれる産まれないということで悩んだり、子育てで揉めたり、自由に使えるお金と時間は圧倒的に少なくなるし、結婚の合理性を見出すのは非常に難しいというのが、その理由である。そこを乗り越えるのは、やはり愛しかない。それこそ、恋愛を経て深まる愛情で、共に家族を作り、生活したいという思いが高まることしか結婚への動機はないのだから、やはり恋愛はとてつもなく大事で、結婚相談所に駆け込むことももちろん必要だが、その前にやはり結婚が目的で出会うわけではなく、恋愛の果てに結婚があるような形が望ましいのかもしれない。

そして、何よりも大切なこと。それは自分の築いた家族のように、自分の子ども達も家族を築きたいと思わせることである。

家族というものにいい印象がなければ、恋愛したって、家族になろうとか、作ろうなんて気にならない可能性が高い。よって、子育ての際には、家族の時間を大切にしたり、家族っていいものだなと思えるような、そんな子育てを心がけたい。