おもちゃについて

以前、私の大好きな番組の一つ、テレビ東京の『世界!ニッポン行きたい人応援団』で話題になったアルゼンチンのタミヤを愛するディエゴさん。タミヤの会長にも気に入られる程の熱狂的なタミヤファンで、放送後の反響が大きかったのか、その後も何回も登場した。彼はタミヤの模型が好きだったが、タミヤには他にも外国人に愛されているミニ四駆もある。

そして、タミヤにも負けじと劣らず、タカラトミートミカプラレールもまた素晴らしい。世界中にコレクターがいると言われ、その精巧な作りと、何より子どもが遊ぶ際の安全を考えた設計など、さすが日本のものづくりという配慮がある。

さらに、バンダイガンダムのプラモデル、通称ガンプラもまた、その精巧な作りと作る楽しさを追求した商品で、世界中にファンがいる。

そして、おもちゃコレクターには欠かせないのが、数々のキャラクターなどのフィギュアであり、もちろん海外にもたくさんのキャラクターフィギュアがあるが、どれも色がズレていたり、顔の表情がおかしかったり、ちゃんと立たなかったり、するものも多く、日本の作りとはやはり差がある上に、完成度の高いものは非常に値段も高いということもある。

その他にも、もちろん任天堂ソニーなどのゲーム機、またはガチャガチャなども人気は高いが、これら全てに共通していることは、大人が遊べるというか、むしろ大人向けではないか?という商品が多い。おもちゃ市場を世界的な視点で見たとき、車業界などのように日本製、または日本メーカーの商品が市場を寡占してしまうような感じはなく、たまに見かける程度である。知育玩具のようなものは、北欧などが強かったり、普通のおもちゃなら米国や中国のものが溢れている。世界中には、日本のおもちゃのファンはたくさんいるし、現に輸出も盛んに行われてはいるが、まだまだその価値や品質に見合った売上になっていないと思っている。つまり、日本のおもちゃとは未開の鉱山であり、今後、とてつもない売上を期待出来る産業なのではないか?と考えている。すでに、多くのメーカーが海外進出をして、販売活動をしているので、きっと私が思うように簡単にはいかないというのが実情なのかもしれないが、私がこう思うのには、以下の理由がある。

まず、大人向けおもちゃが売れる条件は、作りが精巧で、遊んでも、作っても、飾っても楽しい。これは日本のどのおもちゃもほぼクリアしていて、海外ではなかなか大人も満足するようなおもちゃは見つけられない。しかし、それなのにどうして海外でまだそんなに売れてないのかといえば、大人が子どもの頃に、ある程度それに触れている必要があるということがあると思っている。例えば、ミニ四駆が最初に流行った時には、そこまで多くの大人は買っておらず、子ども中心だったものが、その当時の子どもが大人になった時に、今度は子どもと一緒に遊べるようにと始めたり、金銭的な余裕が出て、当時は買えなかった高級な部品やアイテムを買えるようになったなど、様々な理由はあるが、また鮭のように大きくなって戻ってきて、昨今のミニ四駆ブームを支えている。つまり、大人もおもちゃで遊ぶ文化というか習慣というか、雰囲気の醸成が必要なのだ。日本の文化が海外に広まり出したのは、もちろんものによって、または地域によっても違うかもしれないが、1990年代後半からだと考えると、ちょうど2020年代後半、つまりあと5年後くらいに鮭が帰ってくる計算になる。

現にインドネシアベトナムで出会った30代前後の世代は、日本文化が大好きで、小さい子どもがいるという人が多かった。その子ども達が、そこそこ難しいおもちゃも遊べるようになった時、その近くにプラレールガンプラミニ四駆が並んでいることが望ましい。そして、一度手にとって楽しんでしまうとそこからはなかなか抜けられなくなるのが、日本のおもちゃの魅力。親から子へのリレーが世界中で起こり始めると、まさに日本のおもちゃ業界は大きな成長をするのではないかと思っている。

東南アジアから始まり、中東諸国そしてアフリカまで、このブームが広がっていくためには、ここ5年間でどこまで伸ばせるか、これが非常に重要になってくると考えている。

それにしても、日本は本当に色々な商材がある国だなとつくづく思う。