JCBについて part2

まさかこの記事の第二弾を書くことになるとは思わなかったが、残念なニュースがあったので、書くことにした。

現在、ロシアのウクライナ侵攻に抗議または制裁の意味を込めて、多くの企業がロシアからの撤退を表明している。

確かに、工場やオフィスなどで、本国からの出向者が多いところは、彼らの安全も考慮し撤退も間違いではないだろうし、ある程度、欧米との歩調を合わせないといけないのも分かるが、今回、なんとJCBが決済の中止をするというので、非常に残念な気持ちになった。

以前の記事でも書いたように、JCBは世界で認められている日本ブランドのクレジットカードで、海外で使われれば、その手数料が日本に入ってくるという金のなる木なのである。そして、日本を除いて最もJCBを使っているのが、他でもないロシアであることも、前回の記事で紹介した。

そもそも、クレジットカードの仕組みとして、使われれば使われる程、変な言い方かもしれないが、その国のお金が流出するわけで、決してその国を豊かにはしない。同じ事が日本でもアメリカのVISA, masterなどを使い続けることでも言えるのだが、ロシアに対しても同じ事だ。確かにクレジットカードがあることで国民生活は便利にはなるが、制裁としての意味は極めて薄いようにも思う。

よって、アメリカのクレジットカード会社が撤退するというのは彼らの政治的意思によるものだとは思うが、むしろJCBが優位な立場にあるロシアであれば、この機会にさらなるシェアを拡大することが重要に思う。

欧米と一緒になって撤退をすれば、また平時に戻った時に加盟店を増やしたり、発行枚数を伸ばそうとしても、また何かあれば撤退するんでしょ?という空気で上手くいかないような気もする。他にたくさんの国でシェアがあってロシアを捨ててもいいというなら別だが、JCBにとって他のカード会社と比べてロシアは超重要拠点であるにも関わらず、この判断はもったいない。

逆にもし他のクレジットカード会社が撤退する中、JCBは残ります、という宣言を出せばより信頼が増し、ビジネスも拡大出来る。アメリカを避けていたロシアこそ、JCBブルーオーシャンだったはずなのだ。

これをやると火事場泥棒みたいに思われるのかもしれないが、先程も書いたように、クレジットカードはロシアからお金を取る活動であり、例えば製造業で雇用を促進したり、部品の調達等で貢献するビジネスとは違うので、確かに儲かりはするが、ロシアに利益という意味では少ないし、例えば儲けた分の一部をウクライナ復興基金とするとか、そういう対応であれば、誰も文句は言えなかったはずなのに、非常に残念である。

そんな中、ユニクロはロシアでの業務を続けるとした。決して悪い判断ではないと思う。それこそ、ロシアにお金を落とすことにはなるし、クレジットカード業務よりは止めた場合の制裁の意味合いは強いが、批判はそれ程多くないことを考えると、ますますJCBの判断は不可解に思える。

脱原発やら、電気自動車やら、我々日本は常に欧米に追随して、ババを引かされてるという印象があるが、今回の件も、日本がロシアに制裁を進めるのは違和感がある。そして、非友好国認定をされたら抗議するのも、少し間抜けだ。ロシアからすれば、経済制裁をしているんだから、とても友好国とは思えないと考えるのは至極当然であり、友好国でいたいのであれば、何も欧米とそこまで歩調を合わせる必要がない。

ロシアからの魚介類、木材、ガスや石油、鉱物資源などの輸入も制限すれば、今度は国民生活が大打撃を受ける。ロシアも売り先に困れば多少安く売ってくれるようになるのであれば、国民の生活を守る政府の役割はむしろロシアから買い続けることなのでは?とも思う。そうすると、欧米からの経済制裁を受けるかもしれないと考えられるが、経済制裁というのは諸刃の剣であり、彼らもロシアと日本と中国と、みたいに多くの国に対して行うことは難しいだろうし、日本にとってロシアというのは隣国であり、経済以外の繋がりも多く、欧米と同じくらい大切な国だ。

例えば、今回の戦争がロシアが完全に悪い、危険な国だとなれば話は分かるが、前回の記事にも書いたように、ロシアだけが悪いとも言えない状況で、この政府やJCBの対応は非常に残念でならない。

欧米と歩調を合わせて経済制裁を進める日本。ロシアに非友好国認定されたら抗議する日本。経済制裁として行った策で国民生活を犠牲にする日本。なんだか、とてもチグハグな事を繰り返しているように思う。

火事場泥棒と言われようとも、日本は日本や日本人の生活、さらには日本の将来のために、本当に大切な施策をやって欲しいものである。一時の感情を煽り、欧米の言いなりになってしまっては、独立国としての尊厳を損ないはしないか。日本人はあまり知らないかもしれないが、ロシアは親日家がとても多い国でもある。是非、日本は日本なりの判断で事を進めて欲しい。

誤解しないでもらいたいのは、今回のロシアの行動を称賛することではない。ただ、少し冷静になって、何が本当に日本にとって重要なのか、もう少し日本国として、考えるべきだと言っているのだ。