インドネシアについて part2

前回のインドネシア記事は思いの外、高評価してくれる人が多かった。きっと、実際に体験した話だったことや、インドネシア人の人柄みたいなものが伝わったのかと思う。

今回は少しインドネシアの国として、どんな特徴があるのか、それについて書いてみたいと思う。ほぼ全て人から聞いた話と自分の私感なので、事実誤認や誤った見解もあるかもしれないが、単なるお話として、読んでもらいたい。

まず、インドネシアという国は、他の東南アジアの国々と同じように豊かな土地があり、非常に恵まれた気候である。日本にいるとあまり感じないことかもしれないが、山があり、川があり、海があり、暖かくて肥沃な土地があるというのは、世界的に見ると、非常に限られた地域しかないのである。地球の陸地には、砂漠気候とステップ気候、地中海性気候など水があまりない気候が多く、さらにロシアの大部分を占めるツンドラ気候や、氷雪気候なども恵まれた気候とは言えず、インドネシアという国は限られた恵まれた気候や土地を持つ国である。

インドネシアでは雨季と乾季があり、強い太陽光と激しい雨が交互にやってくるため、植物にとっては絶好の生育環境であることから、自生のマンゴー、バナナ、ヤシの木があり、また穀物の米やトウモロコシなどもよく育つ。そしてもちろん、草もよく一年中青々と生えるので、家畜の餌には困らないはずである。さらに、海も川もあり、魚もよく捕れる。つまり、果物、野菜、穀物、肉、魚、どれも日本やヨーロッパの国々よりはるかに簡単に手に入れることができる。当然、中東などの砂漠気候と比べたら、同じ星とは思えないくらいの違いである。これはつまり、日々食料難や水不足と戦ってるこれらの地域や、長くて、暗い、厳しい冬を過ごさないといけないヨーロッパなどの気候などと比べると、あまり努力しなくても、一年中過ごせてしまうということが言えるのである。これがインドネシアという国の全てを決めていると言っても過言ではない。一般的に、人々の性質や生活、慣習や宗教などは気候によるところが大きいのだ。

よって、このような気候で過ごしているインドネシア人はみんなおおらかである。そこまで、計画を立ててきっちりやろうということは思っておらず、色んなことに寛容であるし、とても優しい人が多い。また、競争心のようなものや、他人を陥れて自分が先に行こうとするようなことも少ないし、そもそも争い自体を嫌う人が多いように思う。中東やヨーロッパのような厳しい環境下であれば、太古から土地や食べ物の取り合いから始まり、生きるための戦いが絶えなかっただろうが、インドネシアではもちろん争いがなかったわけではないにせよ、そこまで激しくはなかったこともあり、中東やヨーロッパに比べるとおおらかな性格になったのだろう。また、独立した個性を大事にすることもないが、協調性や調和があるわけでもない、バランスの取れた形というか、何にも縛られていないというのが最も適したい。

そんな彼らは元々、地場の宗教を持っていたが、時代とともに仏教やらヒンズー教やら、イスラム教、そしてキリスト教が入ってきた。そこで、寛容なインドネシア人はヒンズー教も、キリスト教も、イスラム教も全て受け入れた。よく言われるのが、インドネシアイスラム教の国なのに、どうして仏教、ヒンズー教キリスト教も許しているの?であるが、これは逆で、元々色んな宗教があるところに入ってきたイスラム教も受け入れただけであり、それが思いの外広がったというだけである。インドネシアは今でも宗教の自由が決められていて、イスラム教も人数は多い(8割程度)が、インドネシアの宗教のなかのone of themなのである。よって、正式なイスラム教の国ではないというのが、私の見解だ。

そして、インドネシアはオランダ植民地となった歴史があり、それは見方にもよるが、400年近くも続いた。この400年間で何があったのかは詳しく知らないが、とてつもなく長い期間であることは確かである。しかし、それにしては、オランダの影響はあまり大きくないというか、町を歩いていてもその面影があまり感じられない。例えば、イギリスの植民地だった南アフリカには多くの白人が今でも多く住んでおり、言葉も英語が公用語になっている。出張で数回訪れたブラジルも、ポルトガル語公用語であり、建物や食べ物、宗教もポルトガルの文化圏であることがよくわかる。しかし、インドネシアではオランダ語を話す人を見かけたことがないし、白人のインドネシア人にも会ったことがない。オランダ風の建物はいくつかあるが、決して目立つわけでもない。

そんな色んなところからの影響を受けてきたインドネシアが、ここ最近最も大きな影響を受けているのが中国の影響である。日本人の中で記憶に新しいのが、高速鉄道の入札で、日本に事前調査をやらせ、全ての計画を立てさせたところで、インドネシアが土壇場で中国に発注したことである。大方の予想通り、納期遅延と追加費用の増大、労働者の問題などなど多くの人の予言が当たる結果になっている。しかし、これは氷山の一角であり、他にも所謂チャイナマネーによる投資案件がたくさんあり、至るところで失敗している。何故繰り返されるのかと言えば、そういう中国寄りな政治家なのか、権力者がいるからであり、普通のインドネシア人の反中感情はかなり高い。日本人も反中感情はあると言われているが、それよりもはるかに高いと感じた。しかし、そんな国民感情を逆撫でるように親中国政権が中国を優遇するので、また国民は反中感情が高まってしまう。ただ、私はこのように国民感情を考えず、一部の権力者だけを手中に収めて進める国交には限界があると見ている。そこには、知性もなければ感動もない。武力や権力、金銭などによって外交をする時代はやがて終わる。そうなれば、インドネシアも近い将来、脱中国になり、日本との赤白連合へと舵を切ってくると信じている。

以上が、インドネシアの気候から分かる国の特徴と、色んな国からの影響と寛容に受け入れる姿勢と、現在の様子と未来予想を書いた。

インドネシアという国のもう一つの特徴としては、海洋国家であるということだろう。つまり、海の民。昔は海賊も多かったが、中継貿易の一端を担う存在でもあったことが多くの国の影響を受けやすいということに繋がったのかもしれない。さらに、もっともっと前に遡ると、インドネシアあたりの漁民が北上し、フィリピンや台湾、沖縄ときて、九州さらには日本海側にも到達していたのでは?という日本の祖先の一部はインドネシア説もある。もちろんそれはインドネシアだけではないが、日本というのは、主に大陸から渡ってきた人の国だと思われがちだが、顔つきから見ると、インドネシアも含めた東南アジアの国々の方が近いような気もするので、そういう海の民もまた日本人のルーツなのではと思うこともある。真相は分からないが、そんなことを考えてみるのもまた一興。正しいか間違っているかは専門家に任せればよく、日々仕事やなんかで忙しい人であれば、正しさよりも好みを重視してもいいかもしれない。私は少なくてもインドネシアの海の民が、日本人のルーツの一部だと思っている。