アネクドートについて

以前の記事で、ロシアのアネクドートについて少し触れたが、実際にどんなものなのかというのを書いてみたい。主に、米原万里さんの著者に紹介されていたものの引用と私がロシア人から教えてもらったもので、特に著作権は問題ないかなと思うので、載せてみたい。

ロシア人のイメージは暗いとか、怖いというのが先行してしまうが、実はとても愉快でユーモラスな面白い人達なんだというのを分かってもらえると嬉しい。

以下、紹介する話は一語一句覚えているわけではないので、原文とは少し表現が違うかもしれないので、あしからず。

 

〈難波船〉

ある船が難破し、フランス人、アメリカ人、ロシア人の3人の男性が、無人島に流れ着いてしまう。そこへ、神様が現れ、君たちは可哀想なので、願い事を一人2つずつ叶えてやろう、と提案される。すぐに、フランス人が、たくさんの美女とフランスへ帰国させてもらいたい、とお願いし、美女に囲まれてフランスへ着いた。次にアメリカ人が、大金持ちになって、アメリカに帰国したい、とお願いし、多額のお金を持ってアメリカに帰国した。最後のロシア人は、とりあえず、ウォッカが欲しいとお願いした。そして、ウォッカをもらったあとに、あと一つのお願いを聞かれ、一緒に飲む友達が必要なので、さっきの二人をここに戻して欲しい、とお願いをした。

 

解説

これは、ロシア人のお酒好きということが発端だが、ロシア人はお酒は必ずトロイカ、つまり3人で飲め、というような暗黙のルールがあったりする。(今はもうないかもしれないが)そんな背景から、お酒を飲むなら仲間を呼ぶ、そんなロシア人の特性が元になった話だと考えられる。

 

〈ロシア大統領〉

とあるロシアの大統領がドイツから汽車でロシアへ戻る途中、民衆への挨拶のために、窓から手を出していた。

すると、唾をかけられたので、まだここはドイツかと思った。しばらくして、手を爪で引っ掻かれたので、ポーランドに入ったことを認識した。また、しばらく経つと今度は噛みつかれた。ここは、ベラルーシだと思っていると、時計が盗まれた。そして、思った。やっと祖国ロシアに着いた。

 

解説

これは少し政治的な背景を知る必要があるが、冷戦時代になると、ドイツからは嫌われ、ポーランドなどの東欧諸国が、だんだんと自由主義陣営に取り込まれていった背景と、貧しいロシアを自虐的に表わしている。

 

アメリカの記者〉

ある日、アメリカの記者がロシアを取材し、スーパーなどには物がなく、困窮するロシア人の様子を西側諸国に伝えるために、街でインタビューをした。

記者 今のロシアの暮らしはどうですか?

街人 とてもいいですよ!

記者 あなたは、誰かに口止めされているのですか?

街人 いいえ。

記者 でも、物がなくて、食事も、服も、何も買えないんじゃないですか?

街人 そうですね。

記者 では何故、とても良いと思うのですか?

街人 明日よりはよっぽどいいと思っているからです。

 

解説

これは特に解説は必要ないかもしれないが、アメリカ人や、もしかすると今の日本人にもない発想で、最悪な未来を嘆くより、未来が最悪ということは、今は最高だという発想の転換で楽しく生きる。この記者は、辛く厳しい、困窮し悲観するロシア市民を撮りたかったはずなので、きっとこのインタビューを欧米諸国に伝えられなかったのではないかと想像する。

 

〈ハエの入ったビール〉

あるバーで頼んだビールにハエが入っていた。

イギリス人は、ビールを交換してもらい、一杯分のお金を払って店を出た。

アメリカ人は、新しいビールを頼み、店側の責任、賠償だと言って、お金を払わずに店を出た。

日本人は、そっとそのビールをよけて、新しいビールを注文し、二杯分払って店を出た。

中国人は、ハエは体に良いと言って、それを飲んで一杯分のお金を払って店を出た。

そして、ロシア人が現れた。

ハエの入ったビールを見て怒り、新しいビールを要求し、ハエのビールと新しいビールの両方を飲んだ後、お金を払わずに店を出た。

 

解説

こういう国と、北方領土の問題を解決しないといけないのは大変である。つまり、この話で、ロシア人だけが、交渉のための交渉をしている。イギリスは紳士の国、アメリカは訴訟の国、日本は忖度の国、中国は漢方の国。そしてロシアは、無茶苦茶な国。笑

 

この他にも、まだまだアネクドートはたくさんある。是非、みなさんも一度どこかで読んでみては?