育児について ロシア(ソ連)編

私の知る限りの各国の育児事情を比較してみたい。

まず第一回目はロシアだが、今のロシアがどうなっているのかは正直分からないので、昔のロシア、つまりソビエト連邦社会主義共産主義時代のものを紹介する。

当時のソ連は、社会主義のなかで、人間は全て平等に労働者として考えられていたので、男性も女性も、区別なく働くことを求められた。よって、子育ては各家庭の、そして女性の仕事というよりは、国家として育てるという理念があったため、保育園は比較的早い段階から整備されていた。今の日本と同じである。

また、政府任せというよりはご近所さんも含めた社会で育てるというのがあったので、公園には子どもを守ったり、時には、指導したりするおばあちゃんがいたり、他人の子どもでも面倒を見る習慣があったとのこと。

また、ロシア人は子どもの散歩には絶対に親の意向を反映しないという教えがある。これはどういうことかと言えば、一緒に散歩している時に子どもが何か興味を持ったり、遊び出しても、親の都合で先に進むようなことをしないということである。親はどうしても時間が気になったり、めんどくさいと思ってしまうことがあるが、あくまで子ども中心に歩くというのだ。もちろん、危険があればその遊びを止めさせる。

さらに、ロシア人はよく物語を聞かせる。それは絵本を読むということもそうだが、知っている話をそらで聞かせるのである。ロシアの大学受験でも筆記ではなく、口頭試験があるように、話すこと、聞くことを小さい頃から養うことと、物語のなかから人生の勉強をする。なかなか時間がないと出来ないこういうことはおばあちゃんの役割だった。何故おばあちゃんかというと、ロシア人男性の平均寿命はウォッカのせいかあまり長くないので、おばあちゃんが子育てにはよく関わっている。

またロシア人は意外かも知れないが、自分が、自分がという欧米的な教育はしない。ロシア語で、私(英語で言うI)は、Rの左右反転した文字 Я を使うのだが、あまりにも自分が自分がという子どもに対しては、Яは一番最後の文字だよ、と諭す。実際、ロシア語のアルファベットの並びで、英語のZのように、Яは最後である。

今のロシアはどうかはよく分からないが、ロシアの教育も少しは参考になればと思う。