阿武町誤送金問題について

最近、世間を騒がせているこのニュースだが、残念な事が色々ある。

まず、ニュースを見ていると、返金しないことへの批判が多く見られ、ネットなどではむしろ、町の対応に対し、疑問を投げかけるものが多いように見える。

日本は基本的には、間違って送金されたものと分かったなら、何も言わずそのまま返すべきだ、つまり返さないのはおかしいという道徳的観念があるように思う。逆に日本以外の多くの国では、盗まれる方が悪い、と考える国が多い。お金を持っている人はしっかり守るべきで、もしお金を無防備に持っているなら取られて当然、というのが基本である。しかし、そのため、そういうヨーロッパ的な思想がすっかり浸透しているのか、そんな大金(阿武町においては)をいとも簡単に送金してしまうという根本的な問題をネット界隈では論じられている。阿武町側の会見などを見ていると、送金ミス自体はなんとなくスルーされて、あたかも盗まれたかのような言い方になっているようにも見えて、違和感は残る。

とはいえ、私はこの部分はあまり気にしていないというか、どちらも悪い、というくらいで、あまりここを論じる気にならない。

残念なことは何かと言えば、このお金の使い道、それが海外のカジノだったことである。

以前にもお金持ちのお金の使い方について少し書いたことがあるが、お金を持ったら、それは大きな権力を持ったと同じことであり、スパイダーマンと同じ心境になるべきなのだ。

今回の件であれば、当然返すのが筋だから、返すという選択肢しかないのが普通だが、彼のように返さないで使ってしまおう、というなら、それを海外に送るなんて、言語道断で、まずは国内で使うことを考えて欲しかった。もっと言えば、彼は空き家制度を利用していたわけだから、町に対してとか、地域に対してとか、そういうロビンフッド的な発想でもいいし、または、何か慈善事業をやるとか、もう少し考えられないか?と虚しくなる。すぐに使ってしまおうと思ったのかもしれないが、大金を手にしたのに、あまりに発想が貧弱かつ、愛国心もなく、非常に残念に感じた。

もし、このお金が私に送金されて、そして、法律上、または社会通念上、送金した側(阿武町)が一方的に悪くて、返すことなど一切考えなくていいという世の中であれば、どう使うのか考えてみたい。

まず、真っ先に思いつくのが、それを元手にお金を増やすことである。投資でもいいし、何か別の方法でもいいが、とりあえずは、もっと大きな金額にしてから考えるという案だ。しかし、これは面白くない。失敗する可能性があるからではなく、例え一億円になったとしても、そこまでたどり着くのに、それなりに時間はかかるし、今回の誤送金された金額の4000万円もあれば、かなりのことが出来るので、その範囲で考えたい。

よって、同じように貯金という選択肢もない。全部一気に使う、むしろ足りないとなれば借りてでも何かをやりたいと思う。

まず、面白そうだなと思うのは、色んな大学の研究室巡り。企業は色々と日夜研究だの開発だのを進めてはいるが、大きな企業でない限り、今日明日のためのものが多く、必ず研究や開発の結果や成果、つまり利益がある程度見込めるものがほとんどであり、どうなるか分からないものなどは基本的にはあまりないから、目新しさという意味では興味が沸かない。しかし、大学というのは、もちろん最近では企業の下請けみたいな研究をやって研究費をふんだんに持っているという研究室もあったりするが、風変わりな教授が、少ない研究費を駆使して、コツコツ新しいことに挑戦しているというところも多い。そんな研究を応援するための財団を作ってみてもいいかもなぁと思っている。例えば、1000万円でもあれば何かのサポートにはなるだろうし、何よりそれを機に、自分自身が新しい研究などのトレンドを知ることが出来るのが楽しいだろうと想像する。なかなか普段の生活だと色々な分野の論文を読むとか、探し出すのは大変なので。

社会貢献というのをもっとダイレクトに考えるなら、海上のゴミ問題の解決のために何か出来ないかなぁと思ったりもする。海岸沿いにあるゴミなら拾えるが、海の沖合やさらに海岸から何十キロ、または何百キロも離れた場所に溜まって浮かんでいるゴミがあるなら、回収して、分解して、焼却する設備を持った船を開発して、燃やした熱をまた燃料にも出来るようにしたり、海上ゴミ収集車兼処理施設なんて出来ないかなぁとか。こういうのは計画(試作機の設計)するだけで4000万かかってしまうかもしれないが、レジ袋有料化よりは効果があると考える。海上のゴミが問題になったのは、もうかなり前のことではあるが、ここ最近は急に声高になったかと思えば、変なプラスチック製のものへの弾圧が始まって、新しいビジネスが生まれ、温室効果ガスの時と同じ現象がおき始めている。

だから、私はこの不気味な動きを少しでも緩和したく、海上のゴミが問題だというなら、そのゴミを徹底的に拾おうと思う。従来なら、そんなお金どこから出るのだ?となるし、クラウドファンディングとかでもお金が全く集められなかったら、今回のプラスチック製品排斥で儲けた企業や政府関係者などからの寄付でもいいが、そもそも岸田総理が訴える軍備増強をするくらいなら、海上をキレイにすることにお金を使えないの?など、どうせ政府は何もやらないのに、僅かな希望にかけるしかなかったが、このお金があれば、それを元手に海上ゴミ問題から派生した怪しい動きに一石を投じることが出来るはずである。

取らぬ狸の皮算用で、私が使い道を考えている時間も楽しいが、何が言いたいかと言えば、今回阿武町にお世話になった人(今や容疑者扱い)が、恩返しも考えず、返金する気がない、またらなかったということや、その町や地域に貢献する気もないという態度もとても残念だったが、海外に送金してしまうのはもっと残念だった、というのが、今回のまとめである。